日本の衛生分野における専門的知見を基盤として、日本サニテーション・コンソーシアム(JSC)は2009年に設立され、アジア・太平洋水フォーラムにおける衛生分野の「ナレッジ・ハブ(知の拠点)」として国際的に認められました。JSCは、日本国内で衛生管理を担う主要な5つの専門機関による共同事業体であり、衛生設備へのアクセス不足や水関連の課題に直面しているアジア・太平洋地域の国々を支援することを目的としています。情報共有や知見の普及を通じて、公衆衛生の向上と水質汚染の低減に資する持続可能な衛生システムを、対象国が自ら構築・普及させるための能力を身につけられるよう支援することが、JSCの主たる目標です。
し尿や排水の処理問題には、包括的なアプローチが求められます。トイレの種類や処理方式(個別処理か集合処理か)の選定といった決定事項は、個別の要素として断片的に扱うのではなく、システム全体の構築や持続可能性を考慮した、より広い視点から検討されるべきものです。また、し尿処理システムや施設が適切に機能するためには、公衆衛生や衛生管理に関する住民の意識向上も同様に重要です。JSCは、基礎的な衛生設備(トイレ)から、オンサイト(浄化槽:個別処理)およびオフサイト(下水道:集合処理)の衛生システムに至るまで、幅広い専門領域をカバーしているという点でユニークな組織です。しかし、JSCの目的は単なる技術の販売ではありません。具体的には、アジア・太平洋地域の国々における現地の衛生状況を改善するための持続可能な手法を評価・提言し、衛生問題が政治的に優先度の高い課題として扱われるよう働きかけることがJSCの役割です。さらに具体的には、教育、研修、知見の共有を通じて地域社会の能力強化を図り、需要主導型のシステムを構築することを目指しています。強固なネットワークを築き、成功事例を共有することで、衛生分野における「SDGs」の達成に向け、共に大きな一歩を踏み出すことができるのです。